テクニック
セルフ式ガソリンスタンドは釣り銭がレシートで出てくるから取り忘れる者が後を絶たないわけで… カネの悪知恵150
2016.8.9

 無題

 コトの発端は1年前、俺がセルフ式のガソリンスタンドでやらかした、釣り銭の取り忘れだ。
 
 日ごろ車に乗らない人のために説明しておくと、セルフ式GSでは文字通り、客が自分でガソリンを給油する。支払い方法は、最初に金を機械に投入する前払い制がほとんどで、そこから給油した分を差し引いたものがお釣りとして出てくる仕組みだ。
 
 お釣りは、いったんレシートの形で発行され、客はそこに書かれているバーコードを別の精算機に読み込ませて、はじめて現金を手にできるのが、その日、俺は大切なレシートを取り忘れて、うっかりと帰ってしまったのだ。
 
 1万円を機械に投入し、2千500円分を給油したから、釣りは7千500円。「ま、いいや」で済まされる額ではない。やっちまった!
 
 30分後、慌ててスタンドに戻って事情を話したところ、店員はそっけなく答えた。

「レシートの取り忘れ?こちらには届いてないですね」
 
 てことは、俺のすぐあとから来たヤツが猫ババしていったのか。おのれ〜。

「防犯カメラあるでしょ。それ見たらレシート持ってったヤツのナンバーがわかるんじゃないの?」
「すいません。ビデオのチェックは、警察の要請がないとできないんですよ」
 
 ならばと、近くの交番に駆け込んだものの、待っていたのは門前払い同然の扱い。説明を受けた警官が、さも面倒臭そうに言うのだ。
「うーん、それって自販機でお釣りを取り忘れたのと同じことだからねぇ。いちおう、遺失届けは書いてもらうけど、一番悪いのはレシートを取り忘れたアナタですよ。気をつけなきゃ」
 
 そう言われちゃ返すことばもないが、にしたってあまりにも対応が冷たくないか。要するに、たかが数千円の被害に、いちいち対応してられませんってことなんだろう。
 
 その考えは、やがて確信に変わる。後日、俺はふたたび釣り銭の取り忘れをやらかしたのだが、その際、スタンドと警察双方の対応が、笑ってしまうくらい前回と同じだったのだ。  失望する俺に、警官は慰めるようにつぶやいた。
「たとえ防犯カメラをチェックしたところで、犯人の特定は難しいんだよね。ああいうところのカメラは、もともとガソリンを缶に入れて持ち帰ろうとする客の監視に使うためのもので精度が低いの。下手したら車種すら判別できないレベルだから」
 
さて、本題である。以上の出来事によって、俺は2つの重大な事実を思い知った。

●セルフGSでは釣り銭の取り忘れが起きやすい 

 原因はもちろん、料金の前払い制と、レシートを使っての換金システムにある。
 
 人間、慌てているときや、考え事をしているときは、最初に金を支払ったことなど、つい忘れがちになるもの。まして、釣り銭がレシートの形で音もなく出てくるならなおさらだ。
 
 実際、周囲の人間にも尋ねてみたが、レシート忘れの経験者は予想以上にいた。2度も取り忘れた俺が、特別マヌケだったわけではない。

●猫ババしても捕まる危険がきわめて低い 

 説明不要だろう。レシートを取り忘れた人間が、いくらスタンドや警察に泣きつこうが、軽くあしらわれてしまうのは、すでに述べた通りだ。…ん、てことは?
 
 俺の地元には、セルフ式のGSが5店ほど点在している。つぶさに見て回ればレシートの1枚や2枚、置き残されているのでは。
 
 後日、会社帰りにぐるぐると巡回してみたら、さっそくお目当てのブツを見つけた。直前の車が取り忘れていったレシートである。
 
 すぐさま抜き取って精算機へ向かったところ、現金2千円がウィーンと出てきた。心臓ばくばくで車を発進させ、バックミラーをのぞき込む。大丈夫、誰も追ってくる様子はなさそうだ。よっしゃー!
 
 翌日も同様の手口を繰り返したところ、まんまと1千円をゲット。さらに翌々日はボウズだったけど、その明くる日は2500円と、面白いように金が転がり込んでくる。
 
 なんだか、ちょっと怖いくらいだ。毎日わずか数時間、スタンド巡りをするだけで、こんなに稼げてしまうとは。
 
 ただし、いくら捕まる可能性が低いとはいえ、まるっきり無警戒だったワケではない。もし、レシートを換金しているところに、取り忘れに気づいた運転手が戻ってくれば、さすがにアウト。言い逃れはできない。
 
 そこである時から、お宝を見つけた際はすぐに換金せず、いったんスタンドを出て、30分ほど間をあけるよう心がけた(レシートは発券後24時間以内ならいつでも換金可能)。たったこれだけで、リスクがまた一段と軽減されるならお安い御用だ。そんなわけで、俺はいま現在も相変わらず釣り銭パクリを続けている。釣果は月平均で2万弱。調子がいいときは4万を超える月もある。

 

 

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