アンダーグラウンド
赤の似合う女 【連載】どんな女がやってくる?
2016.10.23

 いつものワクワクメールに、奇妙なカキコミがありました。

 

無題2

『赤の似合う年齢』

 

 これは相当の自信家と見ていいでしょう。赤の似合う女なんて峰不二子ちゃんぐらいのものです。さほどに色っぽい女性がやってくるのでしょうか。

 と、軽くすっとぼけてみましたが、本文に『六十歳経験ありますか?』とあるので、おそらくや赤うんぬんはアレの意味かと思われます。一応アポってみましょう。

 

 ホ別イチゴーを提示したところ、待ち合わせに指定されたのは、ラブホ密集地、鴬谷の北口でした。

 

〈左手の奥の細道で待ってます〉

 

 奥の細道。こんなオツな単語がすらっと出てくるなんて、俳句でもたしなんでらっしやるのでしょうか。さすが60才です。

 

無題1

奥の細道のラブホ前では、派手な柄コートを満たおばちゃんが手招きしていました。似合うはずの赤は着ていません。

 

「あら、若いのね」

「ええ。赤い服は着てないんですね」

「やだ-、あれは還暦って意味よ」

 

 推理どおりでした。そんなしようもない隠語、使わなくてもいいんですけど。

 さてこうして対面してみたはいいものの、「お-ま-え-は、アーホーか♪」とノコギリを叩いてる人のような顔の、あるいは関東芸人で言えばケーシー高峰のような顔の、この還暦おばちゃんを抱く気にはとてもなれません。逃げるチャンスを待ちましょう。

 

 ATMに向かうブリをしながら、なぜ彼女が売春なんぞしているのか間うてみました。

 

「ワタシね、マッサージしてあげるのが趣味なの」
「はぁ」
「でもマッサージしてると男の人ならもよおしちゃうでしよ?」
「はぁ」
「だからついでにエッチしてお小遣いもらおうかなって」

 

 エンコーの理由になっているのかいないのかよくわかりませんが、いずれにせよこの人をイチゴーで買った男が過去にいることは確かなようです。

 

 ATMから出てきて「お金がなかった」と告げると、彼女は「あら、そう」とつぶやき、どこかへ去っていきました。

 

 今にして思えば、真っ赤な口紅が印象的な女性でした。

 

 

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