ピックアップ
心の病を抱える女性専門の格安結婚相談所はデート商法の巣窟だった
2016.5.17

 いい加減に結婚しなければということで、ネットで結婚相談所を探しはじたのが一昨年末のことだった。
 いろいろ見た結果、秋葉原からちょっと東へ電車に乗ったところに事務所を構える『Kの会』に興味を惹かれた。なんせ値段が安いのだ。
 普通は入会金20万だの、一人紹介されるたびに数万だのとけっこうなカネがかかるのだが、この会はすべて無料。ボランティアが運営しているためだとか。
 さらにサイトを注意深く見てみれば、どうやらここは普通の結婚相談所とは少し違うようで、『DV被害者や心の病気を抱える女性専門』とある。なるほど、ボランティアってのはワケアリ女性を救う側面があるわけだ。
 さっそく連絡をとり担当者との面談へ。やはり入会金や成婚料は無料で、一人紹介してもらうたびにセッティング代がかかるのみ。ただこれも女性との食事代程度で、毎回1万円もかからないそうだ。
 独身証明書や収入証明を提出して面談は終了。2週間以内に紹介してくれる手はずとなった。

 

精神的に不安定な部分があるので

 ちょうど2週間後にKの会から電話がきた。週末に会える女性がみつかったそうだ。
「バツイチですが、非常に気だての良いかたですよ。年齢は31才です」
「そうですか」
「前のダンナさんにDVを受けていましてね。そのせいで少し精神的に不安定なところはありますが、大丈夫ですか?」
 そうなんだ。まあもともと承知の上だ。
 当日、待ち合わせのレストランにやってきたのは小柄で茶髪の女性だった。
「城島さんですか? 本日はよろしくお願いいたします」
 深々と頭を下げる彼女。テレビドラマに出てくるいかにも質素な人妻みたいな雰囲気だ。決して不美人ではなくけっこう好みである。
 挨拶もそこそこにお見合いがスタートだ。
「僕みたいなオジサンでもいいのでしょうか?」
「もちろんです。前のダンナで苦労してきて精神的に不安定な部分があるので、年上の頼れる人のほうが嬉しいんですよ」
 彼女は2年前に離婚し、子供もいない。仕事はアクセサリーの販売員だそうだ。
 約1時間、お互いのことを伝え合って連絡先を交換したところで会は終了。別れ際に彼女が言う。
「すぐにでも結婚に向けて歩きだしたいので良かったら仲良くしてくださいね」
 そこからメールのやりとりがはじまった。彼女は仕事が忙しいそうで、早く逢いたい気持ちを抑えつつ、次のデートまで1カ月ほどが空いた。
 待ち合わせ場所の喫茶店にやってきた彼女は、大きなバッグを抱えている。
「これ、仕事道具なんです。よかったら見てください」
 バッグからネックレスなどが取り出されテーブルに並べられる。そういえばアクセサリーの販売員だったよな。
 それぞれに値札がついている。どれどれ…8万、12万って、高っ。
 彼女がキラキラ光るネックレスを手にとった。
「私、結婚はすぐにでもしたいんです。だからこれをプレゼントしてくれませんか?」
「え?」
「二人の将来を約束するために、確かな物が欲しいんです」
 そうなんだ。なるほど。でも12万8千円か…。
 かなり迷う。でも彼女は結婚を前向きに考えてくれているし、それがひしひしと伝わってくる。やっぱり男としては気持ちに応えてあげねば。
「わかりました。でも一括はちょっと…」
 その台詞とほぼ同時に、バッグから書類が取り出された。分割契約のものだ。
 記入を終えたところで彼女がネックレスをつけた。子供みたいに喜んでくれている。
「このクルマに乗りたいなぁ」
 その日、彼女は急な仕事が入ったとかで帰っていった。再びメールで連絡をとりあう日が続く。
 ところが2週間後、パタリと返信がなくなった。さらに1週間が経っても音沙汰無しだ。電話もずっと電源を切ってるのか繋がらない。
 何かあったのでは。Kの会に連絡して状況を伝えた。
「ああ、もしかしたら…」

 担当が神妙そうに答える。
「少し前に彼女から電話があったんです。体調がすぐれないとふさぎこんでましたよ」
 そうだったのか…。
「誰とも会いたくないって言ってましたね。まあこういうことって良くあるんですよ。気長に待つしかないですね」
 ワケアリ専門の相談所だけに慣れた様子だ。たしかに彼女が過去に受けたDVの後遺症が関係してるなら、仕方いことかもな。
 ……2カ月が過ぎた。例の担当者から久々の電話だ。
「彼女、いよいよ連絡がとれなくなってしまいました。残念ですが別の方を紹介しますので、また改めて頑張っていきませんか?」
 さすがに落ち込んだが、担当者が言うように前に進むしかないだろう。再びセッティングしてもらった新宿のレストランに足を運んだ。
 やってきた女性は35 才、ショートカットの美人だ。
「私メンタルに問題があって…」
「それはそれは…」
「でも城島さん、すごく優しそうな人で良かった。また会ってもらえますか?」
 断る理由はない。新しい恋に向かうしかないんだから。
 彼女とは1週間後に食事をし、そのまた1週間後、ドライブに行くことになった。
 その途中で彼女が言う。
「私の勤めてる自動車販売所がすぐ近くなんで寄っていきませんか?」
 彼女はそこで販売の仕事をしていると言う。
 到着した店で、彼女がいきなり大きな声をあげた。
「可愛い! 店長、このクルマいつ入荷したんですか?」
 ヒゲ面のオトコが今日だと答える。
「城島さん。私、城島さんと真剣に結婚を考えてます。結婚したらこのクルマに乗りたいなぁ」
 …このセルシオ、180万もするじゃないの。
 渋っていたら彼女は70万円の軽自動車でもいいと言う。まあこれぐらいならいいかもな。ちょうどオレも休日用のクルマが欲しかったし。分割払いの書類を記入し、店をあとにした。
「やった! ありがとう!」
 ムギュと抱きついてくる彼女。うー、カワイイぞ。
      ★
 彼女も2週間後に音信不通となった。Kの会は「精神的におかしくなったらしく連絡がとれない」と言う。
 なるほど、『DV被害や心の病気』があるんだから仕方ないか……なんて騙されてたまるか!
 そう、この結婚相談所、デート商法の女をあてがうための組織と考えていいだろう。心の病気うんぬんは、連絡がなくなっても仕方ないと思わせるための伏線なのだ。
 まったく、モテない男をなんだと思ってやがるんだ。

 

イラスト・清野とおる

イラスト・清野とおる

 

 

日本一下世話で、日本一オモろい、エロい。

月刊裏モノJAPANの記事を読みたい方は

スマホで超カンタンな以下のサービスから!

 

フジサンマガジンバナー

DMMアイコン

Kindleアイコン

 

 

TOPページへ戻る

 

 

本稿は裏モノJAPAN2015年3月号(スマホで簡単なDMM版はコチラ)に掲載された記事をWeb版に再編集したものです。

他の記事をご覧になりたい方はアマゾンKindle版(スマホでOK)でも購読できますのでよろしくお願いします。

裏モノJAPAN201503

 

 

 

見ればガチで素人娘だとわかります

裏モノJAPANの大人気企画『おじゃマン』女の子のインタビュー動画がサービスで見れちゃう!

オンライン書店のFUJISANマガジンサービスよりご注文受付中です♪

※動画は1月24日発売の2016年3月号から

FUJISANおまけ1

FUJISANおまけ22

 

 

最新刊
  • 雑誌オンライン
  • フジサンマガジン
  • ガチスタプラス