「実はデブのほうが長生きできる」という説がある。
日本では新見正則医師の「長生きしたけりゃデブがいい」で広まった話で、なんと「過体重」のグループ(BMIが25〜30未満)のほうが、「普通体重」のグループ(BMI18.5〜25未満)より死亡リスクが6%も低いのだという。つまり、理想体重より20kg以上太ったデブのほうが健康なわけだ。
これは、およそ288万人もの成人を分析したデータで科学的な信頼度も高い。どうやらスリム体型よりもデブを目指したほうが良いのは間違いなさそうだが、この説は正しいのだろうか?
A.結局、デブのほうが不健康なことは間違いありません
「デブのほうが長生き」という説は、2013年にアメリカ疫病対策センターが発表した論文が元になっている(約288万人のデータを調べた大作で、確かに科学的な信頼性も高いように見える)。
が、実はこの論文、発表直後から様々な研究者の批判にあったため、現在では信用されていないのだ。
代表的な批判は、ボストン大学から2014年に出た論文である。疫病対策センターの研究は、参加者の「体重の変化」を考慮に入れてないから無意味だというのだ。
例えば、肥満の人が糖尿病にかかって痩せた場合、この患者は「痩せてても病気」のグループにカウントされてしまう。すると、本当は肥満のせいで病気になった事実が、データから消えてしまうわけだ。
この誤差を正して計算し直すと、普通体重の人がもっとも死亡率は低く、太るごとに死亡率も上がるとの結果が出た。つまり、すべては単なる統計のミスだったわけだ。
その後、ハーバード大からも同様の批判が出たため、現在では「デブのほうが長生き」説は息の根を絶たれている
本稿は信じたらカラダを壊す有名健康法100に掲載された記事をWeb版に再編集したものです。
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