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すみません。彼が銀行を襲ったのは私に貢ぎ過ぎたからなんです
2016.5.2

「もしもし、富士吉田警察ですが」

 8年前のその日、電話口から警察を名乗る男の声が聞こえてきた。

「突然ですが、土岐章一(仮名)という男性は知ってますよね」

「は、はい・・・。」

「ちょっと参考人として話を伺いたいんですけど」

「参考人?」

 しばらく連絡の途絶えていたあの男が、いったい何をしでかしたというのか。問う私に警察は答えた。

「えぇ。銀行強盗で逮捕されましてね」

イラスト・坂本千明

イラスト・坂本千明

 

抱きしめるだけでポンと10万円

「割り切ってお付き合いしてくれる人、探しています」

 当時、19才の私は伝言ダイヤルを使って、援助交際希望のオヤジを募っていた。

 とはいえ私自身が体を売るのではない。同じく伝言で集めたエンコ-少女たちを男にあてがう、女街のような商売をしていたのだ。

 女の私が間に入ることで少女達は安心し、オヤジたちも苦労して相手を探さずに住む。料金5万円で、取り分は折半というボロいシステムだったが、商売はそこそこうまく回転し、毎月40万円ほどの儲けになった。

 土岐も、伝言を聞いて連絡をよこしてきたスケベオヤジの1人だった。

 いつものように、危険な男じゃないかどうかを見極めるため本人と対面すると、そこにいたのはツルツルに頭を剃ったみずぼらしい姿のオヤジ。わざわざ山梨県から上京してきたという。

「・・・ということなんで、希望のタイプとかありますか」

「・・・」

「特にないですか?」

 何を聞いてもずっと押し黙ったままのハゲ男。こいつはちょっとやばいかも。そう判断してさっさと帰ろうとした矢先だった。男はぼそりと言う。

「10万円あげるから少し抱きしめてもいいかな」

「・・・」

 背筋に寒気が走った。何をいいだすんじゃ、こいつ。頭おかしいのか?

「ねぇ、少しでいいから」

 そういって、財布から万札を取り出す土岐。ど、どういうつもりなの・・・。

 早く逃げるか。いや、でもこんなにおいしい話、そうそう転がってるもんじゃないしな。ほんの数秒で10万円・・・乗ってやるか。

 カラオケボックスで、彼は服を着たままの私を抱きしめた。時間にしてほんの数秒あまり。キスするでも胸を触るでもなく、腕に力を込めるだけだ。

「はい、じゃあこれ」

「あ、どうも」

 約束通り手渡された万札の束を数えながら、私は思った。今日一日で縁を切るのはもったいなさ過ぎる。こんな金ヅル、引っ張れるだけ引っ張らなきゃ。

 

金がなくなったから銀行を襲った

 土岐は私のカモとなり続けた。スキンヘッドのくせに性格はかなり弱々しく、女の子としゃべったこともほとんどないらしい。

 遊び方を知らぬ陰気なオヤジが突如エンコ-しようと思い立ったが、なかなかHを要求できずにいる。私はそう理解した。

 となれば考えることは1つ。イイ思いを匂わせつつ、いかに簡単に金を引っ張るか。抱きしめるだけで10万円も出す馬鹿、やりようはいくらでもある。

 カラオケにつきあって5万、お茶を飲むだけで1万。買い物に付き合わさせては支払いをまかせ、友達と旅行に行きたいからと小遣いをださせる。土岐はまるでキャッシュディスペンサーのように金をはき出した。

 いったいどこにそんな金があるのか不思議に思って聞けば、「あまり使うことがないから」とボソボソした答えが返ってくる。性格がカモな上に貯金というネギを背負ってくるなんて、これ以上望みようのない金ヅルだ。

 小遣いせびりはどんどんエスカレートし、そのうち、会うこともなくただ金を振り込ませるまでになった。

「お金ないから振り込んでほしいんだけど」

「うん」

「今からすぐに20万振り込んでよ」

 それだけであっさり口座に20万。調子に乗るなという方が無理な話だ。

「彼氏と遊びに行くからお金くれない?」

「え・・・それはちょっと厳しいかも」

「うるさい、早く10万振り込めよ。ビタ一文まけないからな!」

 歯止めはきかなかった。ごちゃごちゃごねようが、強く命令すれば必ず振り込んでくれる弱気な男なのだから。

 そんな彼と急に連絡がとれなくなったのは、警察から連絡がくる半月ほど前だろうか。電話をかけれもでなくなった。チクショーあの野郎!ふざけやがって!

 すでに彼の貯金がそこをついていたことなど何も知らなかった。警察署内で、私は丸一日、事情聴取に付き合わされた。

 幸い、売春斡旋については何も発覚していないらしく、向こうの知りたいポイントは土岐との関係のみ。

「だから、どうしてそんなにお金をもらったんだね」

「だって、彼がくれるって言うし・・・」

「キミに無理強いされてたんじゃないよね?」

「そんなんじゃないですよー。勝手にお小遣いくれるんだもん」

 彼の犯行が、私に貢ぎ過ぎたことによるものは明確だった。

 一度もエッチできない女に大金をつぎ込み、果ては銀行強盗。土岐の人生っていったい何だったんだろう。

 結局、事情聴取は長時間ながらも穏便に終わり、私は疲れた体で家路についた。成功していれば、もっと貢がせたのに。そんな不謹慎なことを考えながら・・・。

 

 

日本一下世話で、日本一オモろい、エロい。

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