アンダーグラウンド
地回りヤクザのフリして立ちんぼからショバ代を巻き上げることはできるか!? 「はい、シューキン、シューキン」
2015.12.20

 俺の地元の立ちんぼエリアでは、毎日、夜9時から10時ごろにかけて、自転車に乗った地回りヤクザがふらふらと現れる。街頭に立つアジア系の娼婦たちから、ショバ代を集金するためだ。

 

 いつぞや、そこの立ちんぼと遊んだ際に教えてもらったのだが、彼女たちが支払うショバ代の額は毎回5千円。通りにいる立ちんぼはいつも15人ほどなので、毎日7万5千円前後がヤクザ側に転がりこむ計算となる。

 

 うらやましいなぁ。何とか、あの金を横取りできんもんか。いつしか俺は、そんなことを夢想するようになった。

 

 

 まったくクレイジーという他ないが、そんな命知らずなことを思いついたのは、もちろん、それなりの勝算があったからだ。
 まず俺が注目したのは、あまりにもスキだらけなその集金スタイルだ。

 

 

 実際に現場を観察してみたところ、自転車に乗って現れる男は日によってバラバラ。なおかつ、その際、地回り組織の人間であることを証明する身分証のようなものも提示していない。ただ女たちに手を突き出し、「はい、シューキン、シューキン」と言って回り、金を受け取るだけなのだ。

 

 てことは、連中より先に俺が自転車で現れ、同じように「シューキン、シューキン」とやれば、何の疑いもなく、女たちは金を渡すのでは? 彼女らもまさか偽ヤクザが現れるなんてことは、夢にも思ってないハズだ。

 

 もっとも、実際の現場では何が起こるか想像もつかないし、運が悪けりゃ本物のヤクザにとっつかまる可能性だってじゅうぶんにある。が、その場合は即座に110番通報すればいい。

 

 現場に警察が駆けつければ、まず立ちんぼたちはクモの子を散らすように姿を消すだろう。これで俺が金を巻き上げたと証言する人間は、きれいさっぱりいなくなるわけだ。

 

 そんな状況で、ヤクザが俺にどういう対応を取れるというのか。暴行だの、事務所へ拉致るだのもってのほか。かといって、警察に「こいつが立ちんぼからショバ代をかすめとりやがった」と説明すれば墓穴を掘る。管理売春の罪を自白することになるからだ。

 

 何度シミュレーションを重ねても、失敗するイメージは湧かない。よーし、やったるぜ!

 

 

 決行当日、自宅からチャリンコに乗り、えっちらと立ちんぼエリアへ。変装は完璧に近い。オールバックに薄い色のサングラス、上下ジャージの出で立ちは、どっから見ても強面のニーサンだ。

 

 夜8時半。立ちんぼエリアに入った俺は、慎重に周囲の様子をうかがいつつ、ゆっくりペダルを漕いだ。すでに女たちは路地に立ち、道行く男どもに声をかけている。まずは一番手前のネーチャンだ。

 

「はい、シューキン」

 

 言うと、彼女は意外そうに目を丸めた。

 

「オニーサン、ハジメテ見ルネ。新シイ人?」

 

 外人とはいえ、さすがに本物の集金人の顔はちゃんと覚えているらしい。が、ここは強気で押すのみだ。

 

「だから何だってんだよ、バカ野郎。さっさと払うもん払えってんだよ、ほれ」
「ナニヨ、怖イヨ〜」

 

 わざと周囲に聞こえるような大声でまくし立てると、女は慌てて財布から金を取り出した。おっしゃ、次だ次。

 

「シューキンだぞ、おい」
「オッケー、ドウゾ」

 

 よしよし。今度はそこのお前だ。

 

「はい、シューキン!」
「コンバンハ。今日ハ、チョット早イネ」

 

 時間にしてわずか10分足らず。その間に、笑ってしまうほどさくさくと作業を終えた俺は、13名分のショバ代、計6万5千円をあっさりと手にし、疾風のごとくその場を立ち去った。

 

 

 これはイケる!

 

 数日後、俺は再び同様の手口を繰り返すことにした。

 

 

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