アンダーグラウンド
あるヤクザの仁義なき下半身 オレの二股相手はアニキの嫁さんと、親分の娘です
2015.12.10

極道の妻

 親の血を引く兄弟よりも、固い絆の義兄弟—。

 

 北島三郎の「兄弟仁義」で歌われたように、ヤクザ者にとって盃を交わした相手はかけがえのない存在。裏切りは任侠界で最も重い罪の一つとされる。

 

 そのタブーをオレはいま犯している。 死んでも寝てはいけない女 に手を出し、あげく二股までかけている最低の極道なのだ。

 

アニキの女が向こうから誘ってきた!

 平成元年春。運送会社をクビになり毎晩ヤケ酒をかっくらっていたとき、手を差し伸べてくれたのが三上のアニキだった。

 

「いつまでもブラブラしてるわけにもいかねーだろ。ウチの盃を受けろよ」

 

 地元じゃ名の知れたX組・舎弟頭の三上は中学時代の先輩で、以前から何かと可愛がってくれていた。

 

「でも、オレみたいなハンパ者に極道は…」
「何言ってんだよ。オマエなら兄弟の盃を交わしたっていいぜ」

 

 こうしてオレは三上に薦められるまま、X組に入る。

 

 それから10年。気がつけば、組でも一目置かれ、舎弟も何人か預かる身になっていた。

 

 アニキに対する忠誠心に変化が起きたのは、一昨年の春、知人の女を紹介されたことがきっかけだ。

 

「こいつがゲン。オレの弟分だからよろしくな」
「ケイコです。いつもお噂は聞いてます」

 

 めちゃくちゃタイプだった。保母だという彼女は、川島なお美似で色気ムンムン。アニキのスケじゃなきゃ、速攻口説いてるだろう。

 

 ある日、1人でメシを食った後、ヤボ用があるというアニキに、ケイコさんを自宅に送るよう命じられた。狭い車内で2人っきり。ジョークで場を盛り上げるが、ハンドルを握る手は汗でグッショリだ。

 

「ハハハ、ほんとおかしい。でも、うらやましいわ」
「ん? なに?」
「ゲンちゃんみたいな男と付き合える女が」
「……」
「ねぇ、まだ早いからウチで飲み直さない?」

 

 さ、誘ってる! アニキの顔が浮かばぬわけがないが、彼女の髪の匂いをかいだ途端、理性などどこかに吹っ飛んだ。

 

「内緒だからね」
「ええ…はい」

 

 アニキ、許してくれ…。

 

組長にバレたら山に埋められる

 以後、アニキの忙しいときを見計らい、オレたちはこっそり内緒でヤリまくった。刺されても文句のいえぬ裏切り―。元来、女好きだが、まさか仁義も忘れ、色ボケに走るとは。

 

 しかも、一度タガの外れた人間はさらなる過ちを繰り返すから始末が悪い。

 

 昨年の正月。組長の自宅で幹部の新年会に出席したときのこと。トイレで一息し、宴席に戻ろうとすると、目の前に組長のひとり娘・メグミが立っていた。

 

「ヒック…お嬢さん、何か用ですか?」
「アタシ、前からゲンさんと2人で飲みたかったの。今から抜け出さない?」

 

 温和な組長の唯一の頭痛が、娘の男グセの悪さだった。ダメダメ! そんな誘いにのったら、指の2~3本ぶっ飛んじまいますって!

 

「ふん、インポ。意外と根性ないのね」
「…なに?」

 

 挑発にのった、といえば格好もつくが、正直、ニットの上からでもわかるボインの誘惑に負けただけ。座敷から聞こえる組長の高笑いに身を縮めながら、オレとメグミは激しく舌をからませた。

 

 もうどうにも止まらない。ほどなく、ケイコとメグミの二股生活が始まった。

 

 バレたらシャレにならん。そんなことは重々承知の上。特に恐れるのは彼女の母、つまり姐さんだ。

 

「メグミは絶対カタギと一緒にさせる。アンタたちもあの娘に手を出したらただじゃおかないよ!」

 

 普段からそう宣言する 極妻 の怒りを買えば、組では生きていけまい。もちろん組長だって黙ってないはず。今でこそ田舎のオッサン風だが、若いころは武闘派でならしたオヤジだ。どっかの山に埋められるのは必至だろう。

 

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