その他
患者が少ないから感染ルートは明白 A型肝炎を彼女に伝染させたら、なぜか大学の先輩にも感染して・・・
2015.12.7

病気の男

 ゆきずりの女に性病をもらって、そのまま気付かずに恋人とセックス。彼女に伝染し、浮気が発覚してしまった—。

 

 よく聞く話だが、オレも悲惨な体験を持っている。

 

全国で年間500人ほどしかかからないA型肝炎に感染、周囲の人間を巻き込み、恋人を失ってしまったのだ。この病気、患者のウンコを口にしない限り、伝染らないと言われているから情けないやら惨めやら。

 

白いウンコが出て精液はオレンジ色に

 3年前の冬、仕事(TV番組の制作)で行ったエジプトで、カイロ郊外に住む現地のオヤジと親しくなった。

 

 自宅に招かれ、水菜みたいな野菜料理を振る舞われたのはいいが、これがマズイの何の。この世の物とは思えないほどの味である。

 

 帰国して1カ月、急に体調がおかしくなった。38度を超える熱が出て、激しい吐き気を催す。医者の診断によれば、単なる風邪らしいが、処方された薬を飲んでも、一向に改善しない。

 

 どころか、症状はどんどん悪化した。小便はポンジュースみたいになり、白目が黄色に。そのうちウンコまで白くなった。なんかヤベーぞ。

 

「ヒデ君、どーしたの?」

 

 ダウン6日目。3つ下の恋人ミユキが見舞いに来てくれた。半年前から付き合っている23才のOLだ。

 

「オレ、腐りだしたみたい。とりあえず癒やしてくれ」

 

 言うが早いか、ミユキに覆い被さると、恥ずかしがりつつも彼女がチンコをパクリ。下に下にと丹念に舐め進む。いい子だなあ。って、おいおい、そこはさっき白いウンコをしてバッチイぞ。うわぁぁ。

 

 〈ドビュッ!!〉

 

 天国を味わった次の瞬間、地獄に突き落とされた。ぶっ放した精子が、オレンジ色をしていたのだ。なんだコレ!

 

 翌日、別の総合病院に行って、正式な病名がわかった。

 

「あんた、A型肝炎だよ」

 

 医者曰く、BやCほど有名じゃないA型肝炎は、ヨゴれた水や食べ物で起こる食中毒のような病らしい。特に心配する必要はなく、薬を飲めば完治するという。

 

「たぶんエジプトの料理が原因だな。今の日本で、食べ物で伝染ることはないからね」

 

 ちくしょー、エジプトオヤジめ。

 

「ただし、大便でヒト同士が感染することがあるから、一応トイレの手ふきタオルなんかは気をつけてね」

 

 途端に、昨日のセックスが頭に浮かんだ。まさか…。彼女には、とりあえず事情を話し、安心させたものの、ウンコについては触れなかった。

 

 1週間ほどの養生の後、会社に復帰した。日増しに元気になっていく。よし、もう大丈夫だ。すっかり安心していたある日、ミユキからメールが届いた。

 

 

〈おとついから体調悪いって言ってたやん。高熱出て吐き気するから、今からマミーと病院にキター(涙)〉

 

 背筋が寒くなった。まんま俺と同じ症状じゃん。やはり、あのとき彼女にも伝染してしまったのか…。

 

 その夜、ミユキから電話があった。やはり、A型肝炎らしい。もう隠せない。俺は正直にウンコから感染することを伝え、許しを乞うしかなかった。

 

タカシさんとヤッて伝染したんでしょ!

 その後、ミユキとは1週間ほどギクシャクしたものの、何とか関係修復までにこぎつけた。が、ここでまた新たな問題が巻き起こる。

 

 ミユキの発覚から3週間後の深夜。学生時代の友人から電話があった。

 

「お前、ミユキちゃんの件で、大変だったらしいな」

 

 は? なんで、おまえが知ってんだ? いや、確かに親しい連中何人かには話したが、そこから伝わったのか? 

 

「まぁそれはいいよ。そんなことより、あの子は大切にしろよ」

 

 こいつ、いったい何が言いたいんだ? おまえに恋愛を諭される筋合いはねーぞ。

 

「タカシさんだよ。あの人にも感染したって聞いてるぞ」

 

 一瞬、何を言われてるのか意味がわからなかった。タカシさんは大学のサークルの1学年上で、ミユキとも会ったことのある先輩である。なんであの人がA型肝炎に?ていうか、それが俺と何の関係がある?

 

「…それはあれ、お前の…女って噂が多いけどな…」

 

 頭がフル回転した。俺→ミユキ→タカシ。そういうことなのか? ウソだろ!

 

「まあいいよ。遅くに悪ぃ」

 

 友人が電話を切ってから、悩みに悩んだ。A型肝炎は滅多にかからぬ病気。それをほぼ同時期に周囲の人間が発症したとは、偶然とは思えない。でも、まさか…。

 

 考えても結論は出ない。少々恐いが、彼女に電話をかけ直接、聞くより他ないだろう。

 

「タカシさんのことだけど、わかるよな?」
「うん」

 

 即答されて腸が煮えくりかえる。この女、自分が浮気しておいて!まさに怒声を浴びせようとしたそのとき、ミユキが先に口を開いた。

 

「アンタ、キモイんだよ! タカシさんとヤッて伝染したんでしょ。ウンコたらしのホモ野郎!!」

 その後、誤解は解けたが、ミユキとは、まもなく別れた。あのときの彼女の言葉が、逆ギレの演技か、本当に疑っていたのかは未だにわからない。

 

 

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