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奥さん、先生、ごちそ~さま♪ 私はイケないPTA会長
2015.12.3

PTA会長トビラ

 『PTA』と聞いて皆さんは何連想するだろうか。

 

 

 父母の代表が学校内の諸一虹争手伝ったり、教育問題についてりあう。小中学校に通う子供を持たない人にはピンと来ないかもしれないが、簡単に言ってしまえそんなところだ。

 

 

 イメージとしては、かなり堅しく、面倒臭い。自ら役立候補するのは教育に深い関心を持つごく一部の親で、残りは頼れ嫌々引き受けているのが実情だそんな成り手の少ないPTA員を、オレは過去都合5年間にって務めてきた。

 

 教育に熱心?とんでもない。オレの目的はただ一つ。PTAに集う奥様方を喰ってしまうことだ。

 

 

運動会のまっただ中、マミちゃんのお母さんと

「森山さん、どうです一度、PTA役員をやってみませんか?」

 

 

 平成6年3月、同じマンションに住む吉永さんから1本の電話入った。

 

「娘さん、この4月で5年生ですよ」
「いや、すいません。私はPTAに関心ないもんで、まったくお役に立てないと思いますよ」
「私だって最初はそうでしたよ。私だって最初はそうでしたよ。もこういうのは順番ですから」
「いや、ホント勘弁してください」

 

 PTA役員なぞ誰がなるか。ギヤンブル好きで女好き。いつもカミさんに怒られっぱなしの、チャにランボランに務まるわけがない。が、森山さんも簡単には引かない。

 

「ウチの娘が来年卒業でね。どうしても後任者を探さなければならないんです。なんとかお願いしますよ」

 

 聞けば、PTAの什事は平日に,中するため、勤め人の父母には軒並み断られたらしい。それで、自営業のオレにお鉢が回ってきたワケか

 

「月に一回ぐらい行事や定例会にでるだけで簡単ですよ。ですからなんとか森山さん私の後幹事を引き受けてくださいお願いします」

「いやぁ…でもなぁ」

 

 結局、オレは押しに負けた。心底うっとうしかったが、娘を小学校に通わせている以上、1回くらいは仕方ないだろうとあきらめた。

 

 

 山田小学校の体育館でPTA幹事役員を拝命したのはその1ヵ月後だ。ちなみに、メンバーは、会長1名、副会長2名、幹事2名、会計監査2名の幹部役員合計7名と、一般役員が加数名という構成である。

 

 こうしてオレは、5月以降、月に一度、定例会へ出席するようになったのだが、最初のころはさすがに緊張した。意見を求められたら何と答えりやいいかサッパリわからん。

 

 しかし、実際に話し合うことといえば、今後の活動予定や先生のグチ。世間話に毛が生えた程度だ。マジメに教育問題を戦わせる雰囲気などカケラもない。

 

 こんなもんか、とすっかり拍子抜けしながら皿月上旬、いよいよ運動会の日がやってきた。

 

 

 運動会はPTAの主催。この日ばかりは張り切って手伝わなければと思いきや、雑務は一般役員がすべてこなし、幹事のオレは屋根付きシートの下、イスに座っているだけでいいという。

 

 お言葉に甘え、VIP気分で玉入れ、綱引き、徒競走を観戦。正直、これほど快適な運動会は初めてだ。

 

 だが、午後のプログラムが始まって間もなく、オレにアクシデントが起きる。突然、虫歯が癌き始めたかと思うと、時間がたつにつれ痛みが激しくなってきたのだ。

 

 とりあえず、保健室で痛み止めでももらおうと校舎へ入った。しかし、これがなかなか見つからない。くそ〜。

 

「森山さん、どうなさいました」

 

 振り返ると、娘の同級生マミちゃんのママだった。彼女もまたPTAの一般役員である。

 

「いや、急に歯が痛くなりまして。情けないんですが…」
「まあ、それは大変ですね」
「保健室ってどこでしたつけ?」
「あ、私、案内します」

 

 マミちゃんのママの後を付き、1階奥の保健室へ。が、どうしたワケか担当の先生がいない。子供がケガをしたときなどのため、今日は常駐しているはずなのに、なんでいないんだ〜。

 

「痛みますでしよ。私がお薬を探しますよ」

 

 言うが早いが薬棚を漁るマミちやんママ。オレはひとまずベッドに腰を下ろした。

 

「とりあえずお薬を探す間、これを虫歯の部分に当ててください」
「すいません、本当に」

 

 マミちゃんママが冷凍庫からアイスノンを取り出し、オレの頬に近づけた。と同時に、彼女の豊満な胸が目の前に突き出された。

 

 突然、心臓が高鳴り始めた。額と首筋に落ちる汗、鼻腔を刺激するほのかな香水。なんて艶っぽいんだ。

 

「森山さん、どうですか?」

 

 目の前で巨乳が揺れている。ああ、もう我慢できない!気が付くとオレは彼女を抱きしめ、唇を奪っていた。

 

「す、すいません、つい」
「・・・・いえ・・・」

 

 うつむきながら肩で息をする彼女。窓の外では、騎馬戦で「キャーキャー」騒ぐ子供たちの声が響いていた。

PTA会長1

会長はまんまと美人役員を喰っていた

 翌年、娘が小学6年生に上がると同時に、オレはスライド式でPTA副会長になった。1年限りのつもりで引き受けたのに、なぜ副会長などという大役を? 理由は他でもない。ナンパだ。

 

 マミちゃんママの一件以来、オレは徐々に気づき始めていた。PTA役員の大半は女性。ここに男が数人交じっているとは、ナンパに持ってこいのシチュエーションではなかろうか。

 

 邪悪な発想であることは十分承知だ。多くの父母の代表であるPTAをナンバに利用しようなどとは、常識から大きく逸脱している。

 

 しかし、一方でPTA女性役員はみな熟れ盛りの奥様なのだ。浮気願望が少しもないと言ったらウソになるだろう。

 

 互いに役員という同じ立場の男女である。子供の悩みや家庭のグチを話すうち、親密になるチャンスはいくらでもある。この環境を利用せずしてどうするんだ。

 

 明確な目的意識を持ってオレは運動会以降の半年を過ごした。

 

 が、親密度は増したものの、どうしてもそれ以上の関係にはなれない。どこかで、もし失敗したらという不安があったし、副会長の身で大胆な行動に出るのもどうかと心の中でブレーキが働いてしまう。

 

 そこで、迎えた副会長としての2年目。今年こそ絶対モノにしてやる。PTAの男性役員はオッサンばかり。奥さんを引っかけようなどと考えるヤツなど1人もいないだろう。

 

 

 そう思っていたら上には上がいた。未だオレがかんばしい結果を得られないでいた8月、会長の菊池さんから衝撃の事実を聞かされたのだ。

 

「森山さん、ぱ~っと飲んで。今日はオゴるからさ」
「はい」

 

 この日は定例会の後、有志数人で居酒屋で飲み、その後会長に誘われ2人でスナックへ出かけた。会長はかなりご機嫌の様子である。

 

「先日の研修会どうでした?」
「いや-楽しかったですょ」

 

 菊池さんの言う研修会とは、PTA役員が30人ほど参加した1泊2日の伊豆旅行のことだ。楽しかったというのは単なる社交辞令で、オレには嫌な想い出しか残っていない。

 

「で、成果はどうでした?森山さん、あのとき狙ってたでしよ」
「へっ?」
「ははっ。とぼけないでイィですよ。どの奥さんを狙ってたんです」
「えつ!?」

 

 どうやらオレの目論みは完全に読まれていたらしい。そんなに目をギラギラさせてたのか。

 

 いや、そんなハズはない。菊池さんはあの日、2次会が終わった後自室へ戻り、朝食まで現れなかった。奥さん連中と会話するオレの姿は見てないハズだ。ならば、ナゼ。

 

「ああ、それは私も同じでしたから。実は三原さんとHしちゃいましてね」
「えっ!ウソでしよ」
「いや、本当です。旅館を抜け出してラブホテルへ行きました」

 

 マジかよ!? 三原さんと言えば、一般役員の中でもとりわけ美しいと評判の奥さん。どうやって落したんだ。

 

「会長をやればモテモテですよ」
「それ、どういうことっすか?」
「それは…」

 

 菊池さんは言う。PTA会長は校内での発言力はピカイチで、一般教員はおろか教頭、校長さえも頭があがらない。それが奥様連中の目には実に頼もしく写るらしい。

 

「そうすると色々な“相談”をもちかけられるわけです。子供の進路に始まり、旦那の浮気まで。僕が普段は無口なもんだから、口がカタイと安心してるんでしょうね。これってチャンスでしよ。いひひ」

 

 何て憎たらしい男なんだ。悔しいかな、返す言葉が見当たらない。菊池さんが“相談”にかこつけ、いただいた奥さんは去年1年間で4人だという。オレがまだ1人もヤしてないというのに、くそ〜フザけんなっ!

 

 会長と副会長の差をイヤというほど痛感させられながらも、オレは以降も虎視耽々とチャンスを狙った。が、2人でお茶を飲んだり食事をするところまではいっても、その後が続かない。結果は惨敗だった。

 

 そして、この後3年間、オレはPTA活動から一切手を引くことになる。娘の中学入学と同時に妻が病気を患い、加えて家業が忙しくなりそれどころではなくなったのだ。

 

苦節7年、ようやく会長の椅子をゲット

 一昨年の平成11年3月、娘が偏差値45、ギャル率7割、遊び人らけの女子校への入学が決定した。と、間もなく、娘を同じ高校へわせていた吉永さんからお声がかる。

 

「森山さん、ひさしぶりですは私、いま中山高校のPTA会をやっていましてね。4月からも再選されたんですけど。そこで山さん、副会長をやってもらえませんか」

 

 PTA会長のことなどすっか頭から抜け落ちていたオレに、突然の申し出である。しかも今度ははいきなり副会長。ということは次期会長はオレか。

 

『会長をやればモテモテですよ』

 

 

 菊池さんの言葉が脳異をよぎるオレは迷うことなくこの依頼を引き受けた。PTAのメンバーは小学校とほぼ同じだった。

 

 言うまでもなく、一般の9割は女性である30代後半から40代後半と多少歳いってるが、まだ十分エッチの対象になりうる。オレの目標ははっきりしていた。会長になり、モテモテ気分で奥様をいただく。それがためには、まず実績作りと、1年目2年月は毎月せっせと定例会に顔を出し、真面目な発言を繰り返した。議題になるのは飲酒や喫煙問題。いつの時代も変わらないもんだ。

 

 

 そして、平成13年3月、オレは名指しで会長宅に呼び出される。ついに来るべきときが来たのだ。

 

「森山さん、来態の会長のことなんですが」

 

 

よっしゃー!

 

「葛西さんにお願いしようかと思ているんですが、どうでしょう」
「はっ!?」
「何かマズイですか」
「いや、そんなことはないです…。葛西さんなら適任だと思います」
「そうか。そう言っていただけると心強いですよ」

 

 会長はオレと同期の副会長・葛西氏に後任を託すという。ウソだろ。だったらオレの今までの苦労はどうなるんだよ!が、その直後、ドンデン返しが起きる.葛西氏が体調資を理由に会長職を固辞したのだ。

 

 

 こうしてオレは、まんまと“会長”に就任する。苦節7年。思えば長い道のりだった。

 

 

 会長最初の仕事は父母約200名を前にしての就任挨拶である。

 

「PTA役員のみなさま、ご出席いただきました父母のみなさま、この度、会長の大役を仰せつかりました森山です。まだまだ未熟者ですので、今後もみなさまのご指導のほど…」

 

 パチパチパチパチ、..。

 

「先生、よろしくお願いします。さ、こちらへ」

 

 挨拶を終えると、校長が近寄ってきて校長室へ迎えられた。娘の高校では会長だけ“先生”と呼ばれるのが慣習らしい。いや-、いい気分だ。

 

「さっそくですが先生、本日は歓送迎会、明後日に定例会を予定しております。6月の体育祭の準備もさっそく進めませんと」
「わかりました」
「それと、来週は総務部の部会がありますので」
「…。」
「先生?」
「はい、聞いてます」

 

 ぷへ~。会長は仕事の量が数倍になると聞いていたが、想像をはるかに超えている。こんなことで、本来の目的が達成できるのか。

 

 

PTA会長2

 

どうやってラブホに持ち込むか

「会長さん、ちょっとお話があるんですが?」

 

 最初の“相談”を持ちかけられたのは5月末のこと。お相手は高2の娘を持つ桐島さん。30代後半のスレンダーなご夫人だ。

 

「あの、娘から頼まれたんですが、ケータィ電話持ち込み禁止の校則って何とかなりませんか」

 

 えっ、ケータイの持ち込み禁止なんて校則あったか。オレの娘は毎日持っていってるハズだ。

 

「わかりました。それなら指導部と校長に話してみましよ」
「本当ですか?ありがとうございます」
「お安いご用ですよ」

 

 自信はまったくない。常識で考えれば、校則なんてそう簡単に変更できるもんじゃなかろう。が、引き受けた以上、動かないワケにはいかない。

 

「校長、今の時代、携帯電話は必需品です。娘が事件に遭わないよう、連絡を取りたいというのは親のあたりまえの心情でしょう色々な父兄さんから、そんな意見が出ておりましてね」
「はあ」
「つまんない校則なんて変更すべきじゃないですか」

 

 果たして、要求はすんなり受け入れられた。恐るべしPTA会長。礼を言う桐島さんの目が、格段に尊敬の色を増している。どーだ、見たか、オレの力を。

 

「本当に森山さんのおかげです。ありがとうございました」
「いえいえ」
「さすが会長さんだって、私たちの間でも話し合ってるんですよ」
「私は父母の代表として当然のことをしたまでです。ところで…」

 

 定例会が終わったら食事でもいかがですか、とさりげなく誘ってみた。と、「え-、うれしい」と間髪入れずに彼女。よしよし、いい展開だ。

 

 海岸沿いを走り、途中のイタメシ屋へ、ワインを何杯か飲むうち、だんだん桐島さんの口が軽くなってきた。

 

「ウチの主人、毎日帰りが遅くて、子供のことなど完全に私任せなの。ヒドイと思いません?」

 

 否定もせず、肯定もせずウンウン領く。頭の中では、どうラブホに持ち込むかで-杯だ。しかし、この日はうまいタイミングが見つからず、次回の定例会終了後、再びデートをする約束を交わして別れた。

 

次ページへ続く

 

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