スポット
出ると噂の『幽霊ホテル』を泊まり歩く(後編)
2015.11.22

幽霊ホテル200903

前編はコチラから

 

露天風呂で出会った客の父親が偶然、霊媒師

 案内された客室は小綺麗な和室だった。窓を開けると眼下に海が広がる絶景で、幽霊が出そうな雰囲気は微塵も感じられない。が、逆に考えると、綺麗なホテルで霊を見たという噂の方が、真実味があるようにも思える。

 

 念のため、壁に掛けられた絵の裏、押入れの中などをチェックしてみる。何もない。大城氏も、まだ何も感じてないようだ。ひとまず、曰く付きの崖に行ってみよう。

 

 あいにくの雨で月明かりが見えない。海の様子はわからないが、崖の上は洋風のレンガ造りで綺麗に舗装され、高さ2メートル以上の柵が連なっていた。柵の先端は鋭く尖がっているので、これを飛び越えて自殺するにはかなりの根性が必要だろう。

 

 しばらく暗闇の中を柵沿いに歩いてみた。飛び込めそうなポイントは一切ない。暗いので怖いといえば怖いが、やはりレンガ調の歩道の上は、霊が出そうな雰囲気ではなかった。

 

 ホテルに戻り、ネットの書き込みにあった露天風呂に向かうことにした。

 

 書き込みには風呂場に向かう途中の通路でも霊を見たとある。実際にその場所に行ってみると、通路のベンチに《寂しげな老婆》が座っていたが、単なる温泉客の婆さんがタバコを吸っているだけだ。

 

 その奥にある洋館をイメージした記念撮影コーナーでも、特筆すべきものは無し。あきらめて露天風呂に向かうと、先客の若い男性が1人、湯に浸かっていた。

 

「あのー、実はこの界隈で幽霊が見れるって聞いて来たんですけど、何かご存知ないですかね?」
「あーその話、さっき母親に聞いたばっかですよ。自殺の名所みたいですね」

 

 男性は母親に日ごろの感謝を込めて温泉旅行に連れてきたという孝行息子だった。しばらく世間話を続け、彼の父親の話題になったところで思わぬ話が飛び出した。

 

「実は、オレの親父、そういう霊媒師みたいなことやってるんですよね」
「えっ? どういうことですか」
「なんか、昔からいろんな人が相談にくるような感じで、例えば『玄関を抜けるとここにトイレがあると思うんですけど』とか、見てないのに当てちゃうとか、他にも…」

 

 何でも、父親は以前、漁業関係の仕事をしていたが、彼が小学生だったころから、なぜか大勢の人たちが人生相談に来るようになり、以来、霊的な力で解決してあげているという。

 

「例えば、相談に来た初対面の人に、自宅の納屋に古い刀剣があるはずだから、それを処分すればいいよとか、昔玄関の下にお墓があったはずだから、お払いした方がいいとか、家の人も知らないようなことを言って、後で調べるとそれが当たってるんですよ」
「すごいじゃないですか」
「親父は先祖の霊が教えてくれるみたいなこと言ってますけど。俺にはよくわかんないですね」

 

 偶然とは言え、霊能者を父に持つ人間に出会うとは、何か運命的なものを感じてしまう。彼自身が霊能者なわけじゃないので現実味はないが、話を聞いた瞬間はサブイボが立った。これを機に何かに遭遇できればいいが。

 

 いったん部屋に戻り、深夜2時、もう一度露天風呂に繋がる通路に足を運んだ。

 

 電気が消えたおかげで不気味な感じはするが、田舎に行けばもっと暗くて不気味な場所はいくらでもありそうな気がする。

 

 その後、部屋で、大城氏がハイハイして近づいてくる赤ん坊の霊の怪談話を披露してくれた。相当怖かった。

 

鶯谷のラブホテルの『203号室』で……

 最後のターゲットは東京・鶯谷の『ステーション3』なるラブホテルだ。ここもかなりの書き込みで溢れている。

 

『螺旋階段があるロフトの部屋。上にお風呂があって、彼とお風呂に入ってたら下の階から話し声が』
『意味なく鳥肌が立つ感じ? 部屋から出るときに視線を感じた』
『お風呂から出て体を拭いてたら、おばちゃんの声で、○○ちゃーん、って自分の名前を呼ばれた』

 

 特徴的なのは、これらの現象、全てロフトの付いた203号室で起こったことらしい。複数の人間が部屋番号まで特定するとは、恐ろしい。今度こそ何か起こるかも。

 

 11月の平日深夜12時。土砂降りの雨の中、ホテル到着。最近リニューアルしたばかりなのか、外観はいまどきの洒落たラブホテルだ。

 

 が、エントランスのパネルを見ると、どれも古めかしいデザインの部屋ばかり。目的の203号室はタイミングよく空室だった。宿泊料金を払い、霊の待つ部屋に向かう。

 

 ドアを開いた途端、トイレの芳香剤の匂いが鼻についた。やはりリニューアルは外観だけのようで、室内は古いまま。中央には問題のピンク色の螺旋階段があり、階上の風呂場とトイレに繋がっている。

 

 階段を上ってみると、風呂場もトイレも意外に小奇麗な造り。2階にいると下に誰かいないか気になり、1階にいれば上の気配が気になる。ただ、ホテル関西に比べれば、怖い雰囲気は劣る。

 

 しばし、ソファで静かにしてみる。時折、ボイラーのスイッチが入る音が『ゴン』と響き、一瞬ビクっとするが、超常現象の類は起こらない。ベッドの下にナイフを持った女の霊がいるわけでも、トイレから手が出てくることもない。

 

 暇なので、デリヘルを呼ぶことにした。ラブホをよく使う彼女たちなら、心霊体験の一つや二つ知ってるはずだ。

 

 携帯で店を探し一番早く来れる女の子をチョイス。15分後、24才のちょいポチャ女がやってきた。

 

「私でも平気ですか〜」

 

 時間ないから君でいいよ。幽霊よりもその二重アゴの方が怖いけど(残念ながら写真は撮れず)。ひとまず何の話もしないままプレイ開始。ポコチンを咥えてもらっている途中で、意図を伝える。

 

「あのね、この部屋に幽霊が出るって噂があるんだけど」
「いや 待って いや 怖い怖い!ちょっと待って」
「いやいやそういう噂を検証するために来たんだよ」
「ちょっと、本当に怖い 待って待って私ほんとうにそういうの怖いから!」

 

 完全にパニック状態だ。

 

 

 発射してから言えばよかった。

 

「たまたまこの部屋の書き込みがあったから来たんだよね。そういう噂聞いた事ない?」

 

 仕方ないので風呂場に移動しながら、話しを聞く。

 

「なんか、同じ仕事の子からメールとかで、あそこの部屋はヤバいって連絡が来るとき何回かあるんだけど怖いから消しちゃいます。」

 

 彼女たちによると鴬谷のほとんどのホテルに幽霊が出るそうだ。

 

「部屋の電気がパチパチしてパニックになった事があります。あと、窓ガラスに女の人の顔が映るって言ってました」

 

 電気は故障だろうが、女の顔は怖いかも。

 

「この後は、本当にここに泊まるんですか?」
「うん」
「やー本当に?あの鏡とか怖くないですか?顔が出たらどうするんですか!」
「そう言われたら怖い気がしてくるじゃん。やめてよ」
「じゃ本当にごめんなさい。気を付けてくださいね」

 

 彼女は顔面を引きつらせたまま、そそくさと帰ってしまった。まだプレイ時間、結構余ってるはずだけど。

 

 女の子が帰ったあと、何とも言えない恐怖心が沸き起こってきた。2階のトイレに行くのが怖い。ベットの脇に置かれた鏡も裏返してみた。なんだこれ。最初は全く怖くなかったのに。テレビを付けて気を紛らわせ、ようやく眠りについた。

 

 

 結局のところ、そこが殺人現場か自殺の名所だろうが、自分が怖いと思い込んだ時点で怖くなるだけのことだ。思い込みが激しい人なら自己暗示にかかって幻聴や幻覚を見る事もあるだろう。それを心霊現象だと言い切るには強引でしょう。

 

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