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奴らの狙いは捕鯨船だけじゃない!『シーシェパード』に襲われたある漁師の恐怖体験
2015.11.14

マグロ魚船

 少し前の話題だが、日本の調査捕鯨船が環境保護団体『シーシェパード』の攻撃を受ける事件が頻発していたのを覚えておられるか。

 

 クジラの捕獲によって海の自然を壊すのはまかりならんという理屈で、日本船のスクリューにワイパーロープを絡ませようとしたり、発炎筒や酪酸入りの瓶を投げつけたり。その過激な妨害工作の様子をテレビで見て、驚いた方も少なくないだろう。

 

 が、長年、和歌山県でヒラメ・カレイ漁を営むオレにしてみれば、「何をいまさら!」というのが本音だ。ヤツラの行動は数年前から非道くなる一方で、クジラとは無関係の一般漁師たちまでが危険に遭遇している。

 

 新聞・TVじゃなかなか報道されない、連中の実態を知ってほしい。

 

水中時限爆弾で捕鯨船を撃沈したこともある!?

 

 シーシェパードは、77年に環境団体グリーンピースから独立した過激団体だ。

 

 主に『パタゴニア』などのアウトドア・スポーツ用品ブランドなどをスポンサーに持ち、欧米などへ偏った報道を流しては、寄付金や助成金を回収。とりわけ、イルカやクジラが観光資源のオーストラリアで人気が高く、連中が日本船を叩くたびに称賛を浴びている。

 

 一方、和歌山の漁師仲間にとっては、シーシェパードは悪の代名詞でしかない。

 

 確かに我が地元では、古くからイルカやクジラを捕獲していた。が、それとてIWC加盟後は規定頭数を遵守しており、非難される覚えはない。

 

 それが、なぜ日本ばかりを集中的に狙うのか。まったくヤツらの行動は理解に苦しむ。

 

 特に頭を悩ませるのは、何の関係もない一般漁師が海に出るときでさえ、沖合いで連中が待ち伏せしていることだ。

 

 仲間に聞いた話によれば、ヤツらは、ノルウェー沖で水中時限爆弾を使用、捕鯨船を撃沈したこともあるという。もはや、テロ集団と言っても過言ではないではないか。

 

一隻の漁船がゴムボートの船団に取り囲まれている

 

 平成15年某日。トロール船で漁に出たときの話だ。

 

 この日も、シーシェパードは沖に停泊していた。が、我々には興味のない様子。クジラ漁師の船団も海に出ていたため、そっちの監視に忙しいのだろう(ちなみに、クジラ漁師たちが狙うのは、調査捕鯨でのみ許可されたミンククジラではなくツチクジラ。小型漁船を使った、昔ながらの追い込み漁である)。

 

 オレたちが仕事を終え、帰港の途につくと、やけに上空が騒がしい。ヘリが2機飛んでいた。また連中とトラブルでも遭ったのか。

 

 嫌な予感がして、漁師仲間に無線を入れると、クジラ漁師たちは、すでに帰港しているという。ならば、この騒ぎはいったい…。

 

 改めて双眼鏡を覗いて驚愕した。一隻の漁船がゴムボートの船団に取り囲まれているではないか。オレは慌てて現場に急行した。

 

【パン! パンパン!】 乾いた音で計3発聞こえた

 

 ゴムボートの乗り主たちは、やはりシーシェパードのメンバーだった。狙われたのはクジラと一切無縁の漁船で、なんと、ドス黒い監視船が漁船の横に体当たりしている。

 

【ガシャシャシャ!! バリバリバリ!!】

 

「ま、待て! 敵じゃない!オレたちは一般漁船だ!」

 

 若い船員が、拡声器を使い、連中に叫んでいる。無駄だ。そんなこと言ってないで、早く逃げろって! 理屈なんて通じねーんだから!

 

 一方、オレは自分の船を現場に近づけ、彼らが捕鯨船ではないことを証明しようとした。ところが、

 

【ズドドドド…】

 

 突如、船体に鈍い音が鳴り響いた。どうやらオレの船を接近させないよう高圧放水で攻撃しているようだ。

 

 見れば、ドス黒い船体には、缶切りのような鋼鉄製の武器まで備わっている。どこが環境保護団体だ。まるで海賊ではないか。

 

 動きが取れないでいると、さらに恐ろしい光景が目に飛び込んできた。シーシェパードの連中が、漁船の甲板に乗り込もうとしているのだ。

 

『おい! こちら前方の金光丸だ! 走れるか? 逃げないとやられる!』

 

 慌てて無線機を掴み、漁船に指示を送りながら、2隻の間に強引に船体をねじ込む。とにかく、漁船の逃げ道確保が最優先。早く逃げろ!

 

 そのときだった。

 

【パン! パンパン!】

 

 乾いた音で計3発聞こえた。角度が悪くて目視できなかったが、間違いなく銃だ。なんで、ここまで…。

 

      
 逃げるように帰港した翌日、海上保安庁で聞き取り調査が行われた。犯人は間違いなくシーシェパード。すぐに逮捕されるものだと疑わなかった。

 

 しかし、現実には「証拠がない」の一言で、何のお咎めも無し。一歩間違えれば死者が出ていたかもしれないのに、無罪放免とは何たることだ。

 

 国にとっては、鬱陶しい環境団体を刺激したくないのが本音なのだろう。が、その結果はどうだ。現在も、幾度となく漁船に発砲したり、警察の巡視艇に火を放とうとしたりのヤラレ放題ではないか。

 

 とにかく、これだけは連中に言っておきたい。沖で監視の最中、燃料切れになり、オレたち漁師に助けを求めるのだけは止めろ。おまえらの国には、厚顔無恥という言葉はないのか!

 

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