アンダーグラウンド
エンコー女の冷やかしアポで目の前に停まってる車種を伝えたら女が乗り込み、そのまま車は…
2015.11.12

山道ドライブ

 オレは裏モノの連載「どんな女がやってくる?」の真似事をして遊んでいる。出会い系のエンコー女とアポり、ヤツらの自己紹介文と現実とのギャップを笑ってやるのだ。

 

 実際にやってみるとわかるが、あれは本当に面白い。ちょいぽちゃを自称するエンコー女が100キロ超のメガトンデブだったり。あるいは自称『AKBにいそうって言われるよ』が、12ラウンドを戦いきった後の内藤大助みたいな顔だったり。とにかく、もう死ぬほど笑えるのだ。

 

 だから思ってもみなかった。俺のいたずらが原因で、あんな事件が起きようとは。

 

 

 その日、いつものようにアダルト掲示板を物色していたら、何ともかぐわしい書き込みを発見した。

 

 

アスカ、24才。
今から●●駅周辺で会える人希望。
ルックスは自信あります。
暇だし誰かかまってくれないかなぁ。
早い者勝ちだょっ

 

 

 な〜にが早い者勝ちだょっだ、ド厚かましい。こんなヤツ、絶対にドブスに決まってる。ぜひとも実物を拝んでやらねば。

 

 さっそく
いくらで遊べますか?
とメールしたところ、ホ別2万との返事が。ではアポ取りといこう。
2でOKです。今日の午後1時とかでもいいですか?
いいですよ。着いたらメールください

 

 目的の駅へは車で向かった。田舎ではどこでもそうだろうが、俺の地元でも出会い系で待ち合わせる際は、必ず男が車で出向き、そこへ女が乗り込む暗黙のルールのようなものが成り立っている。

 

 まもなく現場へ到着。俺は約束の時間ピッタリにアスカにメールした。

 

着いたよ〜

 

 すぐに彼女から、リターンが届く。

 

車種と色を教えてもらえますか?

 

 メールを確認してから、俺は助手席に座る友人の藤本に声をかけた。この遊びをするとき、いつも付き合わせている相棒である。

 

「車種教えろってさ」
「目の前のシビックでいいんじゃね」
「だな」

 

 車種はホンダのシビック、色は黒だよ。駅前のロータリーに停車してる

 

 こう伝えておけば、アスカはダマされてるとも知らず、必ずシビックの運転手に声をかける。当然、運ちゃんとは話が噛み合わないので、右往左往するアスカの様子を後ろの車で爆笑しながら見物させていただくのだ。

 

 

 数分後、俺たちは爆笑するどころか目が点になっていた。不測の事態が2つも起きたのだ。まず、やってきたアスカらしき女がトンでもなくイイ女だったこと。まじかよ!

 

 そして二つ目は、信じられないことに、シビック運ちゃんと二言三言話した彼女が車に乗り込んでしまったことだ。

 

 はぁ〜?

 

 思わず俺たちは、動き出したシビックを追跡した。頭の中は大混乱だ。なんでアスカはあの車に乗り込んだのか?考えられるストーリーはひとつ。あのシビック運ちゃんが恐ろしくカンのいいヤツで、アスカに話しかけられた瞬間、出会い系の待ち合わせ相手と勘違いされたことに気づき、すかさず横取りしたのだ。

 

 チクショー! ヤツら、このままラブホにしけ込んでしまうのか。口惜しいけどそこまで見届けて帰るか。ところがここでまたもや予想外の展開が。てっきり近場のラブホエリアへ向かうのかと思いきや、シビックが真逆のコースを取ったのだ。

 

 

 車はずんずんと市街地を離れ、やがて郊外の脇道に入ったとき、ようやくシビックの目的地がわかった。このルートは山へ通じる1本道。てことは中腹の山林で青カンでもしようってのか。それともまさか…。どうやら隣の藤本も同じことを考えたらしい。ゾッとした表情でヤツが俺を見る。

 

「レイプしようってんじゃないよな?」

 

 うわぁ、勘弁してくれ。

 

 

 山道に入ってしばらく、シビックは雑木林に挟まれた未舗装道路へ進路を変えた。その先は行き止まりの空き地になっていて、地元ではカーセックスの名所となっている。俺たちは未舗装道へ続く曲がり角の手前で車を停め、しばらく様子を伺うことにした。

 

 女の悲鳴でも聞こえれば、すぐさま助けにいくつもりだったのだが、シビックが消えて5分と経たずに、アスカが山道に飛び出してきた。

 

 

 泣きじゃくる彼女の様子を見るに、シビック野郎に襲われたのは明らか。ただ衣服は乱れていないので未遂に終わったようだ。ほっ、無事で良かった〜。

 

 白々しく俺たちは彼女に声をかけた。

 

「どうしたの、大丈夫?」

 

 しゃくり上げながら彼女が答える。

 

「いえ、ちょっと知りあいとケンカしちゃって。ここに置いてかれたんです」

 

 むろん、ウソだ。エンコー相手(ホントは違うけど)にレイプされそうになったとは言えるわけがない。

 

「俺たちが送ってあげるよ。どこまで行けばいい?」
「すいません。じゃ●●駅までお願いします」

 

 駅までの道中、当然ながらアスカはほとんど自分から口をきかなかった。俺たちも本当の事情を知ってるだけに、というかすべての元凶を作ってしまった罪悪感から、彼女を元気づける言葉以外しゃべる気にもなれない。

 

「ありがとうございました」

 

 駅に着き、アスカがとぼとぼと去っていく。その後ろ姿を眺めるにつけ、つくづく思った。素直にアスカとアポを取っていりゃ今ごろは…。

 

 

 

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