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無料というのはまったくのウソ! 昼下がりの住宅街でよく見かける 家電無料回収車の実態に迫る
2015.11.8

『こちらは粗大ゴミの無料回収車です。ご不用になりましたテレビ、ラジオ——』
昼下がりの住宅街でよく聞こえてくるアナウンス。トラックで町内をぐるぐる回る廃品回収業者だ。皆さんも一度は耳にしているだろう。
今日日、大きな不燃物を捨てるには、リサイクル費用ががかかる。それをタダで引き取ってくれるというのだ。使わない手はない。
と思うが、最近、この無料回収業者を巡り、トラブルが増えているようだ。新聞報道などによれば、「無料と思って業者に頼んだら、作業後に法外な処分費用を請求された」といった苦情が、国民生活センターに多く寄せられているらしい。
ライターとしては、実に好奇心をくすぐられる事態だ。そこで今回オレは、実際に無料回業者にゴミを引き取らせ、連中の悪徳っぷりを調べてみることにした。

 

 まずはいささか面倒だが不燃物の通常の捨て方を確認しておこう。現在、粗大ゴミは処分の仕方によって3つに大別できる。

 

1特定家庭用機器
冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコンの4品目は、03年以降、リサイクルが義務付けられている。不要品は、市町村の委託ゴミ業者や、販売店によって回収され、メーカーに送り返される。
この際、われわれは『リサイクル料金(法律で決められている)』と『運搬料(業者によって異なる)』を支払わなければならない。
例えばテレビの処分費用は、2835円のリサイクル料金+1500円程度だ。

 

2上記4品目以外の30センチ以上の家具・家電
市区町村の粗大ゴミ受付センターに連絡。処理券シール  
(炊飯ジャー/200円、自転車/600円程度)を購入後、不要品に貼って自宅前に出しておけば、引き取りに来てくれる。

 

3パソコン
メーカーに有料で返却。デスクトップ本体の場合、約3千円の処分費用が必要。

 

さて、今回、実験のため用意したのは、96年式のブラウン管テレビと電子ジャーである。この2つを正規で処分した場合、約4500円の費用がかかる。
果たして、連中は無料を謳いながら、どれくらい吹っかけてくるのか。

 

9月下旬。東京都杉並区の自宅にテレビとジャーを置いて待つこと5日、いつものフレーズが聞こえてきた。

『映らなくなったテレビ、動かなくなったミシン、無料にて回収いたします』

急いで部屋を飛び出しトラックを呼び止める。業者のオッサンは、いかにもガラの悪そうな40才過ぎだ。
「このテレビか…。これだとちょっとお金かかるよ」
「えーっ、無料じゃないんですか?」
オレはあえて大げさに驚いてみせた。が、オッサンは悪びれる様子もなく言う。
「今は法律でゴミの処理にお金がかかるようになってるから、なんでもかんでも無料じゃ引き取れないの」
「でも、無料って言ってたじゃないすか」
「もちろん。ここに書いてあるモノだったら無料で引き取るよ」
渡された紙を見ると、テレビは02年式以降なら無料。その他、エアコン、ミシン、パソコン、ステレオアンプなど、約20品目が対象となるらしい。
詳しいことはわからないが、たぶんこれらの商品は無料で引き取っても、中古市場に流すなどして利益が出るのだろう。しかし、オレのテレビと電子ジャーは金にならない。そこで回収料で儲けようってわけか。
で、いくらふんだくるつもりすか?
「3千500円ね」
え!? 普通に処分するより1千円も安いじゃないか!   

意外な答に驚きつつもオッサンに引き取りを頼んだ後、オレは原付でこっそり尾行を開始した。もしかしたら相手を見て、あくどい商売をしている可能性もある。
オッサンは路地から路地を抜け、時に大通りに出て隣の地区に移動しながら、住宅街を回った。
その後を付かず離れずに追い回すこと小1時間。民家を改造したような飲み屋の前でトラックが停車。気のよさそうな老人から、ボロボロのイスを3つ回収した。
車が立ち去るのを見届けるや、老人に声をかける。
「いくら取られました?」
「ん? 引き取りの値段?」
「無料だと思って呼んだのに高い値段を取られたんじゃないかと思いまして」
「3千円だったよ」
微妙な金額である。イス3つなら、杉並区の粗大ゴミ受付センターに頼めば1千円程度。だが、役所に連絡したりシールを買ったりする面倒がないと思えば、ガタガタ騒ぎ立てるような金額ではない。
実際、老人もその辺りを理解したうえで引き取ってもらったようだ。しかし、老人からはこんなことばも。
「そう言えば、隣のおくさんがこの前、冷蔵庫と掃除機とあと壊れた椅子だしたんだけど、トラックに積んでから、2万円請求されたらしいよ」 

 

 

その後、オレはつてを辿り、ある廃品回収業者に業界の内部事情を伺う機会を得た。取材の旨を告げると、相手は開口一番こう切り出す。
「法律でゴミの処分が有料化されてからは、回収業者が増えているよね。ちょっとしたテクニックを使えば、誰でも簡単に始められるから」
何でも、本来、ゴミを有償で引き取るには『一般廃棄物処理業許可証』が必要だが、免許の取得が難しいらしい。
そこで代用されるのが、比較的取得の簡単な『古物商免許』だという。
「家電の引き取りを買い取ったことにしてまえば、古物商免許でもゴミの回収ができるんだ」
よく意味がわからなかったが、後で、前回、テレビと炊飯ジャーを引き取ってもらった際、業者から受け取った領収書を見て納得した。
写真の通り、明細欄に『1円買取』『作業手数料3501円』という胡散臭い文字が記載されている。つまり1円で買い取るが、作業に3501円かかるから差し引き3500円払ってもらうという、少々強引な法律の抜け穴を利用した方法なのだ。

 

では、こうして回収した家電はどのように処理されるのか。
「基本的にリサイクル屋に回したり、発展途上国の業者に引き取らせてるんだ」
その他、近頃は銅やアルミが高騰しているため、地金の業者に流す事もあるらしい。
「あと業者の中には、さばけないゴミ家電を不法投棄してる会社もあるよ」
無料回収車問題がマスコミで騒がれ始めた最近、悪徳業者は少しずつ減ってきてはいるらしい。が、安心するのは早い。客の足もとをみては法外な値段を請求してくる業者もまだ存在する。

裏モノ読者のみなさまにおかれましては、くれぐれも気を付け下さい。

 

 

 

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