その他
交換する人なんて誰もいないけど…… パチンコ屋に置いてあるブランド品の真贋を追及す!
2015.10.24

 パチンコ屋にいくたび、気になっていたことがある。カウンターに堂々と陳列してある、ブランド物の景品についてだ。
今までちょこちょことパチンコ屋には出入りしてきたが、あの景品を持って帰る人は、見たことがない。あれって、本物なんだろうか。
どうにもニセモノ臭いんだけど。
 UFOキャッチャー景品のブランド物財布がニセモノなのは許せるけれど、パチンコ屋は数千発、つまり現金にすれば万単位の玉と交換するのだから本物でなきゃ困る。
ニセモノなら詐欺だ。
 よし、ここは実際にブランド景品を持ち帰り、真贋をハッキリさせてやろうじゃないか。

 

遊戯もせずにひたすら玉を交換 FENDIを狙ってみよう

 さっそく新宿の適当なパチンコ屋に入ってみる。
平日の昼でも混んでるもんだね〜。この人たちはなんの仕事をしてるんでしょ。
 カウンターを確認すると、ヴェルサーチやヴァレンチノの財布、時計などなど、様々な種類のブランド物が置いてあった。
経費の都合上、2500玉(1万円)で交換ができる、フェンディのキーケースを狙うとしよう。
 ではいざ台へ。
といっても打ちはしない。マトモに戦ったのでは2500玉出すのにいくらかかることか。下手すりゃ3万ぐらい飛んでしまう。
 ここは1万円札を突っ込んで貸出ボタンをバンバン押し続け、すべて玉にしてしまうのが賢明だ。
 ジャラジャラジャラ。
 ハンドルは握らず、ボタンを押しては、出てくる玉をドル箱に流し込む。どう見ても怪しい客だけど違法行為ではない。正々堂々と振舞おう。
 当たりも引いてないのに、5千円分でドル箱は満タンになった。店員を呼ぶわけにもいかないので、自分で床に下ろして2箱目に取りかかる。隣のオッサン、かなり怪しんでます。
 ようやくめんどくさい作業が終わり、店員を呼んでジェットカウンターに流し込む。
玉数は2500発ぴったり。当然だ。
 2500と書いた紙切れをカウンターの女の子に手渡すと、それをバーコードに通した彼女は当然のように現金交換用の景品を取り出そうとした。
「ちょっと待った!」
「はい?」
「あっちのガラスケースの景品と交換したいんだけど」
「え? 景品でございますか? か、かしこまりました」
 こんな客は初めてなのか、驚いた表情の彼女はそそくさとガラスのカギを開け、フェンディのキーケースを取り出した。

正規品だったらベージュの部分がもっと鮮やかに出る

素人が見ても、正直これが正規品なのかどうかはわからない。
丁寧にも 真正品証明書 なるものが同封されているので、本物なのかも。
よく耳にするスーパーコピー品だったら、このくらいの細工はするものかもしれないが。
 店を出た僕は、すぐさま近くにある質屋(ブランド商品の買取センター)に向かった。
彼らはスペシャリストだ。
ささいな違いでもきっと発見してくれるはずだろう。
「これを買い取ってほしいのですが」
「商品のほう確認させていただきます。…フェンディのキーケースですね。ご自身で使用されていたのですか?」
「いえ、知り合いが新品で買ったものを譲り受けたんです」
「新品ですか!? なんか使用感がありますけど…」
「へ? 新品って聞いたんですが」
 店員は自信あり気に言う。
「このベージュの部分が少し黒ずんでいるんですね。新品なら、もっとキレイな色が出るはずなんですよ」
 なんだか予期してなかった展開だ。
本物ニセモノの前に、中古品なのか? 確かに新品という表記はなかったけど…。
「そうなんですか。ちなみにコレ、本物なんですかね?」
「と、いうと?」
「もしかしたらニセモノの可能性もあるかと思って」
「私どもはメーカーではありませんので、その判断は致しかねます」
 こういったショップは、正規品かどうかの鑑定はやっていないという。
ならば買い取り額で真贋を推測するしかない。
「じゃあいくらで引き取ってくれるんでしょうか」
「申し訳ありませんが買い取ることはできません」
 中古だからかニセモノだからか。
いずれにせよこのフェンディ、かなり怪しい。

 こうなったら、直営のショップに行って確かめよう。
高島屋に入ってたはずだ。
 フェンディはセレブな雰囲気のフロアに店舗を構えていた。
お姉さんに話しかける。
「これ、そちらの商品なんですけど、ちょっと見てほしいんですよ」
「どうなさいましたか?」
「友人に譲ってもらったんだけど、これが本物かどうか確認したいんです」
「当店ではそういった鑑定は行っていないんですが…」
「なんとかお願いできないですかねぇ?」
「そうですか…。いちおう見るだけ見させてください」
 店の奥にひっこんだ店員さんは、5分ほどで戻ってきた。
「お待たせいたしました。はっきりとは言えないのですが、コチラは正規品ではない可能性があると思われます」
 キター! で、その根拠は?
「ハイ、こちらのベージュの部分ですが、本来はもっと鮮やかな色なんです。それに比べるとこの商品は若干うす暗くなっていますので、正規品でない可能性もある、ということです」

 その足で先ほどのパチンコ屋に戻った僕は、景品を交換してくれた店員に詰めよった。
「さっき交換してもらったコレなんですけど、直営店に見てもらったら、正規品じゃないかもしれないって言われたのですが」
「…少々お待ちください」
 店員は、別の、おそらく店長と思われるオジサンを呼んできた。
「お客様、正規品ではないとのことですが、どちらでお調べになったのですか?」
「フェンディの直営店です」
 へん、どうだ。
直営店のお墨付きだぞ! チミたち、これは詐欺じゃないのかね。
「さようですか…。実は私どもは、ブランド景品を一括で仕入れておりまして、商品の真贋というのは仕入れ先のほうでしか確認していないんですよ。大変申し訳ございませんでした。返品いたしますか?」
 やけに腰の低い対応で拍子抜けしてしまった。
出方によっては大騒ぎしてやろうと思ったのに。
     

 ★
 店がわざとニセモノを入荷しているワケではなく、問題は仕入先にありとのことだが、やはり店にも落ち度はあるだろう。チッ、出る台でも教えてもらえばよかった。

 

 

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