スポット
51才、中年オヤジ。人は彼をピンサロDJと呼ぶ(後編)
2015.10.14

120425

【裏モノJAPANオンライン・担当者より】

当ページは、月刊『裏モノJAPAN』2015年6月号に掲載された記事を再編集したものです。

大阪のピンサロに、マイクパフォーマンスが激しく魅力的なボーイがいると聞きつけ、現地まで走った編集部員・タテベ。その目に映った現場と、ピンサロボーイの生き様を、紙上に再現した次第です。

本日は後編をスタート、イージードゥダンス!

(前編はコチラをクリック

 

 

病気ネタはあかんのかもな

いつしか家でひとり酒を飲みながら、合いの手のバリエーションを考えるようになっていた。
店内の有線はダンス系の曲ばかりだ。
曲名はわからないけどテンポが早いときはコレ、ゆっくりのときはコッチと、思いつくままにノートに書き出してみる。

(ズンズン)チンポを
(ズンズン)舐めたら
(ズンズン)なんでや
(ズンズン)甘いわ
(ズンズン)糖尿かい!
(ズンズン)やめときや!

 うん。オレはエエと思うけど、お客にしてみたらどやろな。他にも考えてみよか。
 翌日、さっそくお披露目だ。
まずはテンポ早い曲やな。

(ズズズ)イッちゃって
(ズズズ)イッちゃって
(ズズズズズズ)イッたらええやん、
 顔にはかけるな!
(ズズズ)イク前に
(ズズズ)オカンの顔は
(ズズズズズズ)思い浮かべちゃ
 アカンでホンマ!

 …どや。
これ昨日考えたイチオシやで。
少し間をおいて客の一人が声をあげた。

「そらそうだ! 母親はダメダメ!」
それに応じて店内のところどころからクスクス聞こえてくる。
むふふ。ウケとるやん。

他にもいろいろ試してみたところ、糖尿のやつは店がシーンと静まってしまっ
た。
病気ネタはあかんのかもな。

アンタに大阪来てほしいねん

ピンサロ店員になり5年が経ったころ、大阪の系列店の店長やオーナーが東京出張にやってくることになった。
いちおう形式上、ウチはその店の傘下らしい。

「今日視察に来るので、いつもよりもっと張り切ってお願いしますね!」
店長の目が光っている。
店が盛り上がってなかったら怒られたりするんかいな。
開店してすぐにいかついスーツ姿のオッサンたちが入店してきた。
絶対コイツらや。
まだ客おらんのによぉ。

店長が深く腰を曲げる。
「お疲れさまです!」

「おう。あのよ、付け回しのアンチャンおる?」

「え? はい」

オレ? 何の用?

「おう、アンタかぁ。噂はかねがね聞いとるわ。合いの手がオモロイらしいやん。楽しみにしてるわ」
オレの合いの手が遠い系列店まで知られてるだって?
この人(オーナーらしい)によれば以前の店長から、客ウケのいいマイクパフォーマンスをする男がいると聞いてたそうだ。すごいやん。ワシ有名人や。
「あはは、よろしくお願いします」

「そんでな、まあこれは提案なんやけど、アンタに大阪来てほしいねん。異動や異動。住処も用意するしなぁ」
へ? ホンマに? なんやそれ。ピンサロ業界にも地方異動があるんかいな。

まもなくして客がぽつぽつ入ってきた。
オーナー連中が事務所で聞いてる中で、最近お気に入りの合いの手を披露する。
「さぁさぁさぁ、女の子のコト愛しておくんなはれ! 嫁や家族を忘れて愛しておくんなはれ! 女の子はそこまでアンタのこと思ってないけども、それでもおクチで気持ちよくしてくれまっせ! それイッて、イッて、イッて!!」
笑いが起きる。ええぞ、その調子や。
もっともっと楽しんで帰ってくれよー。

閉店後にあらためて大阪店への異動を打診された。月給は1・5倍の
30万、寮費はタダという破格の条件だ。
よっしゃ、いっちょ乗るとしよか。

あの威勢のいい曲はピンサロに合うで

久しぶりの大阪を懐かしむヒマもなく、帰ったその日から新しい店に出勤することになった。
開店前の掃除や雑用もやるにはやるが、営業中はひたすらマイクを持ってフロアを動き回る。
他のボーイは「あのトシさんですか!」などと尊敬のまなざしだ。
気分がいいったらありゃしない。

しばらくしてオーナーから「もう曲も自分で選んでやったらええやん」と言われ、はたと気づいた。
なるほど、それなら合いの手の幅も広がりそうだ。

寮の部屋で考える。
どんな曲がええかな。
ていうか最近の歌知らんし…。
(ロッキーのテーマはどうやろ。あの威勢のいい曲はピンサロにぴったり合うで)

翌日、いざCD持参で店へ。
選曲から考え出した今日こそが、本当のデビューのようなものだ(なんのこっちゃ?)。
「はい、1番テーブルあみちゃん指名!2番テーブル、ユメちゃんよろしゅうたのんます!」
すかさずCDプレーヤーでロッキーを流す。
さあ行くで!

(タターター)イッて、イッて、イッちゃって!
(タターター)あみちゃんの口に出したって!
(タターター)出せへんかったら男やないで
(タターター)出してようやく一人前や!

 お客さん笑ってるやん。ほらもういっちょ!

(タタタータタター)ええか、ええのんか?
(タタタータタータター、タッター)
 はよイッてまえ〜!!

 店内にドッと笑いが起きたことで確信した。
オレに求められてたのはこれやったんや。
よっしゃ、まだまだいくでえ。
ほな、次はたかじんのこのバラードでどうや!

(やっぱ好きやねん)ワシも好きやぁ
(やっぱ好きやねん)ワシも好きやねん
(悔しいけどあかん あんたよう忘れられん)  
 はっ!
(やっぱ好きやねん)女がアカンのか?
(やっぱ好きやねん)代えていわれても
 おらんて
(きつく抱いてよ今夜は)
ええからイッたらええねん!

また爆笑だ。
これ、別にヨソで聞いたらおもしろくもなんともないだろうが、ピンサロでやってるとこがええんやろな。
ある意味、ハードルが低いというか

君が代か…不敬罪で捕まらへんか?

数年前からちょこちょこお客さんから、あの曲でやってくれとリクエストが入るようになった。
この人らも、何をしに来てるんかわからんな。
「なあ、『愛は勝つ』でやってや」

あんなさわやかな曲をピンサロで流すんか。
なんかちゃう気がするけどな。
とは思いつつも、リクエストに応えるのがオレのいいところ。
依頼主が次に来店したところでお披露目だ。

(心配ないからね)心配や
(キミの想いが)ちゃうちゃう!
(誰かに届く)ハゲてきとんねん!
(明日がきっとある)シコりすぎ!
(どんなに困難で)オナニーやめて
(くじけそうでも)お店に来てや
(明日も来るよ)絶対来てや
(必ず)はい!
同時に アンタはフェラでイク〜
    (最後に愛は勝つ)

決まったで!
初老のおっちゃんからはこんなリクエストもいただいた。
「トシちゃん、『君が代』でもいけんの?」

「え? 考えたことないですわ」

「ええやん。じゃあ来週の土曜に来るし、それまでに頼むわ、な?」

君が代か…なかなか難儀やな。不敬罪で捕まらへんか?

 

土曜日。例のお客さんが店にやってきた。
オレに向かってウインクしてくる。
やらなしゃーないな。

 

 

【※サイト上での記載は自粛―ラストクライマックスのところで大変申し訳ありませんが、裏モノJAPAN2015年6月号をご覧ください】

 

 

この数年、オレの合いの手を聞くために来たと言ってくれるお客さんが増えた。
わざわざ四国からやってくる人もいたりして申し訳ないほどだ。
ただ、申し訳ないのだが、全国誌は影響が大きいので、店の場所や名前はお教えできません。
どこかでウワサを聞きつけて遊びにきてくださいな。

 

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