アンダーグラウンド
この道30年男が語る 痴漢ギョーカイのすべてを話しましょう(前編)
2015.10.19

痴漢私は高校一年生のとき以来、30年間痴漢を続けてきた。
3年前、首都圏の某路線で痴漢を働いていたところ、鉄道警察に連行。
4度目の検挙だったこともあり、ついに実刑が下された。
 
シャバに出てきたのは今夏のことだ。
はっきり言って、もうこのような思いはこりごりである。
痴漢から完全に足を洗った今、懺悔をこめて私が30年間に見知った、痴漢界のすべてを語ろうと思う。
 

女性の方には、今後、被害に遭わないための参考にしてもらえれば幸いだ。

 

監視カメラの影響力はない

私が痴漢をしていたのは、もっぱら電車内である。
首都圏ではなんと言っても埼京線が猟場だ。
痴漢検挙ランキングでは中央線も上位に組み込まれることで知られているが、埼京線はこの30年間でも安定して高い人気を獲得し続けている。
 

理由は明白だ。
渋谷、新宿、池袋という若い女性が乗り降りする主要駅を通過することに加え、駅間が5分とそれなりに長いからだ。
 

特に無法地帯となっていたのは2000年前半ぐらいだろうか。
当時は痴漢だらけで無法地帯となった車両はまるでAVのような光景だった。
 
ご存知の方も多いと思うが、埼京線は5年ほど前に先頭車両に監視カメラが設置された。
が、はっきり言ってその影響力はほとんどないと感じる。

 
上からカメラで顔や服装を撮影されたところで、混雑状況のなかでは下半身の動きなどわかりっこない。
いや、手を動かすとどうしても肩が上下に動くので、わかる場合もあるのだが、私を含めて痴漢はそんなことを気にしないほどに大胆な者が多いのだ。
現に、当時よく顔を知っていた痴漢のほとんどがカメラの有無に関わらず、毎晩のようにホームで確認することができた。

 
関西ではなんといっても環状線が有名だ。
よく狙われる区間は京橋ー大阪間、新今宮ー天王寺間だ。
 

詳述はできないが、かつて私は全国をまわる仕事をしていた。
その際には「痴漢出張」というのをよくやっていた。
全国行く先々で早起きし、混雑した電車に乗り込むのである。
 

田舎の電車はひと駅間が5〜7分と長い。
そのため、ターゲットと長く密着することができる。
さらに、痴漢慣れしている女が少ないので、都会に比べて安心して痴漢を働くことができる。
なものだから、私の知人には仕事でもなんでもなく、痴漢のためだけに地方に遠征している者もいた。
 

狙われるのはぶつかって謝る女

痴漢たちはよく女子中高生を狙う。
特に朝。
遅刻を避けるために、被害者が泣き寝入りする場合が多いからだ。

 
なかには女子校の最寄り駅を事前に把握しておき、始業時間ギリギリの時間に通学する中高生を狙う輩も少なくない。
ある仲間の一人は学生時代、毎朝最低1人は女子生徒を痴漢し、大学生活4年間でその学校の女子生徒延べ500人を触ったほどだ。

朝のピークが過ぎたら、次に狙われる時間帯は18時から19時半にかけての帰宅ラッシュになる。
この時間帯は女子中高生に加えて女子大生やOLもターゲットに入ってくる。

職業ごとの特徴はないが、触れそうな女(抵抗しなそうな女)というのはすぐに見つけられる。
当然だが、ギャルを中心とした気が強そうで派手な女は真っ先に除外され、その上でスカートの女が狙われるのである。
 
制服姿の女子中高生はスカートの中が生パンティの可能性が高いため、真っ先に痴漢が飛びつく。
彼女たちに助言しておきたい。
ミニスカートはやめておきなさいと。
あれは本当に彼らの餌食になりやすいものだ。
 
ターゲットが定まったら、もみくちゃにされるような動きを装って後ろにつき、まずバッグや膝で軽くぶつかってみるのが常套手段だ。
 
このときの女性の反応は概ね三種類だ。
①………こちらをギッと睨んだり舌打ちしてくる女
②………逆に「すみません」とこちらに謝ってくる女
③………無反応な女
 
このなかでもっとも痴漢に狙われるのが2つ目の謝ってくる女だ。
 
これに気づいたのは私がまだ痴漢を始めて4年足らずの大学生のころの出来事がきっかけだった。
 
その朝、混み合う車内でいつものようにターゲットを物色し、距離を詰めて手を触れるタイミングを見計らっていた私。
だが、ここで思わぬアクシデントが襲う。
急激な電車の揺れでおもいっきり目の前のOLの尻を触ってしまったのだ。(マズい、これは完全に撤退だ!)
 
通常、予想外に激しくやってしまった場合は、萎縮してターゲットを変更するものである。
ところが、そのOLは、私の手をよけないばかりか、咄嗟にこちらをチラ見し「すみません…」と謝ってき
たのである。
 
その瞬間、私のなかで直感めいたものが走った。
大胆きわまりないのだが、触れた手をそのまま離さず、混み合う車両のなかで彼女の尻をさすり続けたのである。
結局それから2駅の間、私は黙り込む彼女の尻を堪能した。
 
つり革や荷物を両手で持っている女もターゲットにされやすいことは言うまでもない。
特に、さきほどの「ぶつかり」をしても相変わらず手がふさがっている女。
こんなのは狙ってくれと言っているようなものだ。
 
痴漢を避けたい女性は、つり革は片手で持ち、荷物で両手がふさがりそうなときはどちらかを床か網棚の上に置くことで身動きを取れる状態にしておくべきだ。

 

乗る予定のない女性を飲み込む「ピラニア」

 
30年もこの世界にいると、見た目だけで痴漢かどうかわかるようになる。
 
まず、なにより一番わかりやすいのが場所だ。
痴漢の9割はどの電車であれ「進行方向先頭車両」にいるものである。
 
ホームにいる時点で怪しい奴はすぐにわかる。
通常、電車が到着するまではホームで列をつくって並ぶわけだが、並ばずにホームの中央でケータイをいじっていたり、柱にもたれかかっていたりしているのはまず間違いなく痴漢だ。
言うまでもなく、電車が来てから最適なポジションを探るためである。
 
服装にも特徴がある。
サラリーマンの痴漢を除き、大抵が身動きの取りやすい肩がけの小さなバッグを持っている。
これは両手が自由になることに加え、いざというときに全力で走って逃げ出せるためだ。
 
また痴漢と言えば、一見オヤジが多そうなイメージを抱きがちだが、常連の顔ぶれは20〜60代とさまざま。
ギャル男風の者もいれば、屈強な体つきをした黒人もいる。
先入観は禁物だ。

 

電車がホームに到着すると、痴漢たちは過剰に周囲をキョロキョロしながら並び始める。
ターゲットを定めてから電車に乗り込むためだ。
女性客はこうした男たちに飲み込まれるようにして電車に「食われて」行く。
この様子を私たちは「ピラニア」と呼んでいる。
 
よくターゲットにされるのは、普段はその路線に乗らない、たまたま混雑路線、車両に乗り込んでしまったようなOLである。
 
ピラニアの勢いは想像以上に凄まじい。
これは、痴漢にもっとも勢いのあった2000年代前半のある夏の出来事だ。
 
いつものように、18時すぎに某路線の先頭車両付近ホームでターゲットを物色していたところ、電車が到着してドアが開いたタイミングで、目の前をセーラー服を着た女子高生が通り過ぎていった。
その瞬間。
 
周囲にいた男たちが、雪崩のようにドアの方向へ、いや、その女子高生目掛けてタックルをするかのごとく流れ込んでいったのである。
あっという間に彼女は車両内に押されながらもみくちゃにされていった。
 
もがくように彼女が、閉まりかけるドアの向こうにいる駅員に向かって叫んだ。
「すみません!私、この電車に乗りたいんじゃないんですけどー!」
 
聞きつけた駅員が急いで彼女を引っ張りだすようにして救出し、ことなきをえた。
そう、ピラニアは本来その電車に乗り込む予定ではない女をも巻き込んでしまうのである。

 

 

後編は10/20へ

※当ページは月刊裏モノJAPAN2014年12月号に掲載された記事をWeb版に再編集したものです。